SGLT2阻害薬は非常に有用な薬ですが、その独特な仕組みゆえに注意すべき副作用が存在します。最も頻度が高いのは、尿の中に糖が増えることによる「尿路感染症」や「性器感染症」です。糖分は細菌やカビ(カンジダなど)にとって絶好の栄養源となるため、特に女性において膀胱炎や外陰部のかゆみ、炎症が起きやすくなります。また、糖が排出される際には一緒に水分も引っ張られる「浸透圧利尿」が働くため、尿の回数や量が増え、脱水症状を引き起こすことがあります。
特に注意が必要なのが、高齢者や夏場の脱水、そして「正常血糖ケトアシドーシス」という特殊な状態です。これは血糖値がそれほど高くないにもかかわらず、体内のエネルギー代謝が異常をきたし、血液が酸性に傾いてしまう非常に稀で重篤な副作用です。激しい倦怠感、吐き気、深く速い呼吸などの症状が現れた場合は、速やかな医療機関への受診が必要です。また、全身に広がる重症の薬疹(薬疹)が報告されることもあるため、服用開始直後の皮膚の変化にも気を配る必要があります。これらの副作用は、正しい知識を持ち、適切な対策を講じることで多くの場合防ぐことができます。